なぜかソニーEマウントにしか存在しない、20-40mmという特異な焦点距離。TAMRON 20-40mm F/2.8 Di III VXD (Model A062)は、日常使いから作品撮りまでカバーできる絶妙な使いやすさ、F2.8の明るさ、そして365gという軽さを兼ね備えた優秀なレンズです。Nixが3年間じっくりと使い込んで感じた魅力について、作例を交えながら紹介します。

まずは、このレンズの描写力がわかる作例からご覧ください。
作例

GinzaSix周辺の壁面を、広角端20mmのパースを活かして切り取ってみました。単なる壁面でありながら、奥行きのある床のようにも見える不思議な立体感が生まれています。開放F2.8特有のわずかな周辺減光も、作品に深みを与える一つの味として楽しめます。

銀座のTiffany&Co.です。40mmで撮影すると目の前の景色を自然に切り取れますが、ここから20mmまで引いてみると↓

同じ立ち位置でも、ここまで空間を広く写し出すことができます。非常に便利な反面、画面内の情報整理を意識しないと余計なものまで映り込んでしまうため、広角ならではの難しさと面白さがあります。
手前の車までしっかりと収まっていますね。

40mmでの近接撮影がこちら。ここから20mmの広角を活かして撮影すると↓

背景の抜け感が全く違いますね。
逆光と光芒

逆光耐性と光芒の様子を見ていきます。まずは開放F2.8。太陽光がふんわりと柔らかく拡散しつつも、コントラストはしっかりと保たれています。

F13まで絞り込むと、シャープな光芒が現れました。画面全体の解像感も引き締まり、風景撮影に適した端正な描写になります。

さらに最小絞りのF22まで絞り切ると、光芒の鋭さも最大になります。強い光源を印象的に演出したい場面で重宝します。
接写


このレンズの大きな強みとして、広角端で最短撮影距離17cm、望遠端で29cmという近接撮影能力が挙げられます。被写体にぐっと寄れるため、写真撮影はもちろん、動画撮影時にも距離感を気にせず扱えるのは非常に実用的です。
暗所

小田原城内の展示エリアでの一枚です。光量が少ないシチュエーションですが、F2.8の明るさを活かして開放で撮影することで、シャドウからハイライトまで豊かな階調を保ったまま記録できています。

ほぼ暗闇の環境下での花火。ノイズを抑えつつ、火花の軌跡や周囲のわずかなディテールをクリアに描き出してくれました。
食べ物

料理の撮影にも適しています。被写体に寄ることでピント面のシャープさが際立ち、F2.8の自然なボケ味と相まって、肉汁の質感やシズル感がしっかりと伝わる一枚になりました。
とても美味しそうに撮れていますね。
3年使用しての感想
3年間あらゆる場面で使用してきましたが、明確なデメリットと言える部分はほとんど見当たりませんでした。強いて挙げるなら望遠側が40mmまでという点ですが、それを補って余りある取り回しの良さがあります。

- 軽い(365g)
- 価格が比較的安い
- 寄れる(広角17cm, 望遠29cm)ので距離をあまり気にしなくて良い
- 望遠側が40mmと控えめ
まとめ
広角から標準域までをカバーしつつ、まるで「少し画角を変えられる、明るく軽い単焦点レンズ」のような感覚で扱える一本です。価格もこなれてきており、Eマウントユーザーにとって非常に実用的で満足度の高い選択肢になるのではないでしょうか。
