はじめに
紆余曲折あり自分で自作キーボードを設計して使いたいという気持ちが発生したため、今回の記事執筆に至りました。
以下Boothにて「Nickey44」を販売中です。
なんで作ろうと思ったか?
- 設計者目線のキーボードの世界を見てみたかった、理解度を上げたかった
- 既存の自作キーボードの作者の気持ちをより理解できるのではないか
- 単純に自分で作ってみたかった
- 家に3Dプリンターがあり、CADソフトで簡単な3Dモデルは設計できる状態になっていた
- 久々にハードウェアっぽい事に取り組んでみたくなった
- パーツを確保さえすれば予備含めて大量のキーボードを確保できるため、終売に怯える事が無くなる
キーボードの遍歴や思いなどは過去に以下で紹介しています!


設計する上で絶対に盛り込みたい事

- パームレスト無しでも打てる全高であること
- ほどよい余白を設けること
- 小指2列は絶対に盛り込むこと
- 軽いこと
- 親指で左右5、6キーは無理なく押下できること
- キーピッチは17mmピッチ以下の狭ピッチであること
- ケースや基盤の設計に無駄な複雑さを盛り込まず、シンプルであること
- トラボなどのポインティングデバイスは、無くてもいいかも(後述)
薄くて軽い事へのこだわり

薄い事でパームレストから解放されたいというのはずっと考えていました。FILCOの漆塗りリストレストもかなり愛用していましたが分割はされておらず、時代の流れとともにロープロファイルが人気となってきたタイミングであわよくばリストレストから解放されたいと思うようになりました。
また、会社等へ持ち運ぶ際にも薄さ軽さはリュックへ忍び込ませたり、足腰の痛み軽減にも貢献してくるため、同じく重要だと考えています。
小指2列はマスト
これは、2014年から使用を開始した「HHKB」の神配列において、通常CapsLockが存在しているAの左にCtrlキーが存在しており、小指で押せるという革命的な体験が元になっています(神)。Qの左にはTAB、Aの左にはCtrl、Zの左にはShiftが必須であり、今もなお色褪せること無く配列に組み込んでいます。

親指キー数へのこだわり
親指キーの多いキーボードを使うようになってからは親指でSpace、Enter、Backspaceと、独立したレイヤーキー2個は最低限無いと使えなくなりました。具体的には
- レイヤー1: 数字とHJKL位置の十字キー、割と使うカッコ、Fnキーなど
- レイヤー2: 覚えやすい位置に配置した記号など

キーピッチが狭ピッチである事
狭(きょう、せま(※派閥あり))ピッチとはキーのピッチ数が通常の19mmピッチのもの(世で一般的に売られているキーボードのキーの間隔)に対して狭めの17mmピッチ以下のものを指す気がします。
指の移動を最小化できるのと、全体を小型軽量化できる事が嬉しいポイントです。
16mmピッチもサンプルで作成してみましたが、少し打ちにくかったので17mmピッチで決定としました。
弱点としては17mmピッチのキーキャップが充実しておらず、キーキャップを自作されている方のものをboothで買うなどが主な入手経路となります。
自分はアライさんという方の「RidgeCap」という独特な傾斜の付いたキーキャップを使わせていただいておりますが、こちら無しの生活には戻れないです!

KiCadで実際に設計してみる


サリチル酸さんの自キ設計ガイドには非常にお世話になりました。Youtubeに動画解説もあり、実際にKiCadという回路設計ソフトと格闘しました。
これは本当に合ってて、果たして動くものに仕上がるのか…?という不安もありつつ進めることが出来ました。
JLCPCBへ基盤の初めての発注
発注には専用形式でのデータ納品が必要ですが、KiCadの設計データから一括で納品データの形式で出力してくれるプラグインがあったためそちらを利用させて頂きました。基盤の厚みを1mmにしたり、基板色を白にするなどしました。

2ロット目からPCBAへ

44キー = ダイオードを44個と、バッテリコネクタを付けるのが結構大変なのと、ダイオードの極性が確実に合っているという安心感からPCBAにしました。価格は高くなりますが、余裕で見合うと思います。
ケースをPlasticityでモデリング

ゆびながさんというLotusOrbという自作キーボードを作成されている方から買い切りで商標利用できるCADソフトがある!という情報を教えてもらい、購入してケース設計が出来ました!
もともとFusion360を使用していましたが無料版だと商標利用に制限があり、ライセンスも年間日本円で10万円くらいしてペイ出来なさそうなので買い切りは神です。
ちなみになんで3Dモデリング状態にあったかというと、学生時代のバイトや卒論でCAD設計データで金属加工依頼したり、資料の参考図でリアルなレンダリング画像を使用するのに少し触っていたというのがあります。(この時にはんだ付けも覚えました)
3Dモデルデータを3Dプリンターで印刷
偶然家にBambu LabのP1Sという3Dプリンターがあったため、3Dデータをプリント出来ました。想像が実際に形になるのは嬉しい。
そして頒布へ

Twitter(Xとは呼ばない)でキーボードを公開すると、試してみたい!という方がいらっしゃったため(ありがとうございます) 少量をお苦しみキット(後述)としてテスターも兼ねて頒布する事にしました。取り組みはDiscordサーバのチャンネルでわいわい行われておりました。かなりつよつよな方が多かったため、むしろ知見を頂くことも多かったです🙇♂️
奇跡的に不具合無く動作したため、そのまま正式頒布となりました!
商品ページはこちらです↓
おまけ: お苦しみ
そもそも「お苦しみ」とは?
お苦しみという言葉の起源は諸説ありますが、moNa2の基盤とバッテリだけ届いてビルドガイド無し、サポート無しで基盤とバッテリのみが届くという超上級者向けのが発祥な気がしています。部品調達も自分で調達する、特にトラボセンサーなどの必要部品も参加者のDiscordチャンネルで提供しあうという楽しみ方も見受けられました。
また、ギズモードさんのPodcastチャンネルにも登場していました!(42:18)

お苦しみギャラリー

Prospector対応を自力でされておりました。キーキャップもShell-Capsなどなどがもちいられており、ケースについては公開されているSTLデータを下にJLC3DPに発注して作成されておりました!
Prospectorについては以下記事をご覧ください👍️


Nickey44はあえて外側下部にキーを設けておらず、基盤やキーを同じ層にバッテリを内蔵する事で薄くしております。
バッテリ自体は空間よりも小さめであり、公開しているSTLデータを下にトラボとトラボセンサー(PAW3222)を組み込んでおられました。
ケースデータを公開している事による独創性をながめているのもまた面白いです!

こちらも同じくyuさんの作品で、右手親指の右端に5.3mmトラボのAZ1UBALLを搭載されていました。
トラボモジュールが1Uサイズなので見た目の収まりを使用感も良さそうです👍️
また、ケースをネジレス化されており、より薄くスタイリッシュに仕上げていただけて嬉しいです。

「ゆ」さんはPAT9125というトラボセンサーを用いて14mmトラボを搭載しておられました。お苦しみ着弾後爆速でチャンネルで共有されたため速度感と技術力の高さに驚きました🙇♂️
ケースについてもマーブルになっていて美味しそうです👍️
「ゆ」さんはCorchibiというキーボードを作成されているため、こちらもぜひ見てみて下さい。

その他ギャラリー
天キー Vol11に参加させて頂きました。

また、おーざわさんの野生のNickey44も観測しました!ブルークリアが綺麗です👍️

またDaihukuさんのYoutubeチャンネルでもインタビュー頂けました!(1:52:49より)






まとめ

設計作成や頒布に至るまでの色々やギャラリーなどをご紹介させて頂きました。
ご不明点等あればお問い合わせフォームやTwitterのDMでお気軽にお待ちしていますm
ビルドガイド↓

わいわいDiscordサーバ
booth:



